笑顔が溢れる。
私の勤めている病院では、月に1回レクレーションというものを行う。
普段できないカラオケをしたり、ボーリングをしたり、患者様が楽しめる企画を実施している。
12月は私が担当することになった。
患者様も職員が楽しめるレクレーションでないと意味がないと思っている。
いろいろ考えて、調理レクをすることにした。
楽しいレク中に、事故などあってはならない。まして窒息なんて起きたら、もう2度と調理レクが出来なくなってしまう。
安全に食べられるものを作ることにした。
ややひたひたにしたフレンチトースト。
これなら柔らかく、飲み込みも難なくできるはず。
いざ家で試作。
調理レクを決行する場合、私は必ず試作する。ぶっつけ本番はリスクが高すぎるから。口に入る物は特に慎重になる。
これに生クリームを添えて、ちょいと豪華な感じに仕上げようと思う。
そして、レクレーション当日。
生クリームも泡立て器で作ることにし、患者様にも一緒に混ぜてもらう。
だがしかし、なかなか固まらない生クリームに時間をとられてしまい、予想以上に時間が掛かってしまった・・・。
というハプニングはあったものの、「美味しい」と喜んでもらえて、やった甲斐があったと私も笑顔になった。
レクレーションが苦手で嫌いという職員もいるけれど、患者様と職員が一体となれる絶好の時間になるから、この時間は大切な一瞬になると私は思う。
認知症の患者様がほとんどだから、一瞬一瞬が勝負なのだ。
ほんの僅かな時間でも、笑顔になれる時間が貴重だと思うから、私はレクレーションというものを大切にしている。
残念なニュース。
介護士による虐待の問題は後を絶たない。
今日、テレビを見ていると『介護士が利用者に虐待、逮捕』との報道が目に飛び込んだ。
なぜ虐待が起きてしまうのか・・・。
認知症についての理解不足など「教育・知識・介護技術などに関する問題」
「職員のストレスや感情コントロールの問題」
などが理由のようだけれども・・・。
私が思うに、介護士は『現場のプロ』という位置づけで、ただ単に業務をしていれば良いということではないと思う。
人を相手にする仕事であるから、認知症や病状の勉強をしないとならないし、技術を磨くことも求められる仕事で、なによりも感情のコントロールが大切だと思う。
私自身も、殴られたり、引掻かれたり、暴言を浴びせられたり・・・イライラすることもあるけれど。
どうして、利用者がそうなるのか、背後に隠れている『問題』を見つけてあげることで解決できる場合もある。
人を看る・・・ということは一人では無理だし、施設全体で取り組まないといけない問題でもある。
介護は、いわゆる3kと呼ばれる職種だけれども、やり甲斐があるし、感動だってある。人と人とが心を通わす素敵な仕事だと思っている。
高齢化の時代はまだまだ続きそうだけれど、虐待のない穏やかな生活が両者共に訪れることを切に願う。
苦手から得意へ。
はじめて介護士の仕事に就いた日。
トランスファー(移乗介助)が恐怖でしかなかった。
数日は見学のみだったけれど、どの先輩の介助を見ても、柔道の投げ技のようにしか見えていなかった。
※その先輩が荒っぽかった訳ではない。
早く一人立ちしなければ・・・という焦りから、道理無視の、完全に見様見真似の無茶なトランスファーをしてしまった。
案の定、患者様を激しく落とし、普段しゃべらない方なのに「痛い」という発語を引き出してしまった。
今思うと誰かと一緒にやれば良かったと思う。
10年以上前は、新人教育も行き届いていないのが現状だった。だから、トランスファーの基本が理解できていなかったのだ。
それから時が経ち、動画サイトでもトランスファーの動画がアップされるようになった。
ボディメカニクスを理解し、様々な方法を覚えて、今では難なく介助できるようになった。重い人や立位が不安定な方も、事故なく安全に介助できるようになった。
たまに力任せだったり、持ち上げる介助をしている先輩もいるけれど、私は『持ち上げない』介助を心掛けている。
人を動かすには。
悩みがあると、自然と立ち向かえる言葉が降りてきます。
私は介護士をしています。
私が入職して6年目くらいの時に、とある新人職員の教育を途中から任されました。
その新人職員は私より年上で、ありえないことをやらかし、他の職員から避けられるようになってしまいました。
さて、そんな新人職員とどう向き合おうか…⁇
本気で悩みました。
失敗は誰にでもあるものだから、私は気にしてませんでした。
いつものように接して、1から指導し直すことにしました。
1から介護技術を教え、患者さんとのコミュニケーションを教え、看護師との連携を教え…たくさん関わりました。
これで良いのか…。悩みました。
というのも新人教育をしたことは今までありません。だから正解が解らないのです。
相変わらず避けられたままだし、本人も落ち込んでいるし…。
そんなある日、とある講演会に行くと素晴らしい話が聞けました。
『人を動かすのは力じゃない。心が寄り添った時に人は動く』
それだ!!
と思いました。
私は精一杯、その人に寄り添おうと誓いました。
その甲斐があって、一通りの業務はできるようになり、遅くなってしまったけど夜勤デビューも果たしました。
そして、他の職員からの信頼も回復し、ようやく一人前と認めたもらえるまでになりました。
まだ指導者としての正解は解りません。だけど、一人前になったその職員は、『私だったから、ここまで頑張れた。ありがとうございました』と言う言葉をいただきました。
正解は解らないけれど、間違えではなかったと実感できた出来事でした。
これからも『心が寄り添う』を目指して、職員にも患者さんにも接していこうと思います。
写真:『先輩猫と寄り添う』
今日も1日、ありがとうございました。